家電量販店業界の動向やランキングなど

家電量販店の売り場

家電量販店業界の動向や現状を業界に起きた出来事や背景を交えて分析しています。データは2022-2023年。売上高のランキングや各社シェア、市場規模の推移、業界が抱える課題や問題と今後の取り組みなどを詳しく解説しています。

家電量販店業界(2022-2023年)

家電量販店業界の推移と基本情報

業界規模

6.0兆円

成長率

-0.0

利益率

1.8

平均年収

486万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

家電量販店業界の過去の業界規模の推移を見ますと、横ばいで推移しています。

家電量販店業界の動向と現状(2022-2023年)

23年の販売額4.6兆円 巣ごもり特需の反動減続くも市場規模は高水準

経済産業省の「商業動態統計(2024年4月15日公表)」によると、2023年の家電大型専門店の販売額は、前年比1.1%減の4兆6,324億円でした。

家電大型専門店の販売額の推移

家電大型専門店の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

家電量販店の販売額の推移を見ますと16年に底をつけ、2020年まで緩やかな上昇傾向にあることが分かります。2021年に減少に転じて以降は微減と横ばいですが、2022年もコロナ前の2019年の水準を上回り高水準で推移しています。

2022-2023年の家電量販店の動向をみますと、前年から引き続き新型コロナ感染症による巣ごもり需要の反動減が見られた年でした。テレビやオーディオ機器、調理家電が前年を下回ったほか、経済活動の再開により家電量販店の来店客数が減少しました。一方、物価高や電気料金の値上げを受け、省エネタイプの冷蔵庫やエアコン、大容量の高機能洗濯機やカメラなどが好調に推移しました。

家電の寿命は概ね10年程度と言われています。09年から11年に実施されたエコポイント制度や地上デジタル放送への移行により、家電の買い替え時期は2020年以降に本格化すると思われていました。

また、2020年は夏の東京五輪の開催に伴うテレビ需要、4K8K衛星放送の本格化、さらに「windows7」のサポートが終了。法人や個人によるパソコンの買い替えなどがあり、2020年の家電量販店業界はこうした特需がちょうど重なる時期で、堅調な需要を見込んでいましたた。

ところが、コロナ禍により2020年の東京五輪は延期し都市部の店舗は客数が減少、一方で、郊外店舗では在宅勤務や給付金などの恩恵を受け、パソコンやテレビ、冷蔵庫、調理家電などが購入されました。ただ、2021年以降はこうしたコロナ特需の反動減が続き、くわえて2022年は物価高による買い控えの動きも見られています。

家電量販店業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマダHD 16,005
2 ビックカメラ 7,923
3 ヨドバシカメラ 7,530
4 ケーズHD 7,373
5 エディオン 7,205

※ヨドバシカメラは2021-22年の売上高です。2022年の家電量販店の売上高ランキングを見ますと、トップはヤマダHDとなり独走状態です。首位のヤマダHDは、家電販売が全売上高の約8割を占める主力事業ですが、その他に住宅やリフォーム、家具事業にも参入しています。

2022年の家電量販店の業績は、上位5社中5社が横ばいでした。コロナ特需の反動減の影響はありますが、コロナ前の2019年と比較すると概ね横ばいで推移しています。

2023年以降の市場は不透明 物価高、ネット通販拡大などで逆風強く

お金の生る木に水を与える

2020年から2022年の家電量販店業界は新型コロナウイルスの影響で、明暗が分かれる状況でした。経済活動が再開した2023年もコロナ特需の反動減や物価高による買い控えが見られるなど、2024年以降の市場動向は不透明です。

家電量販店大手5社の売上高の推移

家電量販店大手5社の売上高の推移(各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)

上のグラフは家電量販店大手5社の売上高の推移をあらわしたものです。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による給付金の交付や自粛特需を背景に上昇、2021年から2022年はその反動による需要の減少がありましたが、過去10年の推移を見ますと、おおむね横ばいであることが分かります。

差別化が難しい家電量販店業界は、価格競争と店舗拡大により規模を大きくしてきました。しかしながら、市場は成熟化し、大きな伸長が見込めない踊り場を迎えています。長期的な人口減少や世帯数の減少が業界に大きな影を落とします。

さらに近年では、ネット通販の拡大による市場パイの減少、賃金低下や物価上昇による生活防衛意識の高まりなどで市場環境は厳しさを増しています。さらに近年では、「コト消費」の拡大など消費者ニーズの変化も見られます。コロナ禍の需要は短期的で、「新規出店による拡大」といった従来のビジネスモデルが通用しなくなってきています。

非家電、リフォーム、海外展開、電子棚札など新たな取り組みが続々

ひもに引っ張られながらも前に進む男性

こうした動向を受け、家電量販店大手各社は将来への布石を模索しています。

業界首位のヤマダHDは21年に家電販売7社を統合、22年4月にはヒノキヤGPを完全子会社化し住宅事業を強化。さらに、家電と家具、リフォームを中心とした「家電住まいる館」を整備し、2022年5月には大塚家具を吸収合併しました。新たに「暮らしまるごと」戦略を掲げ、家電や家具、生活雑貨、リフォームなど暮らしに必要なモノが揃う、新業態店舗「LIFE SLECT」を本格展開します。また、東南アジア地域への事業拡大もめています。

業界2位のビックカメラは非家電の玩具や自転車、日用品やコンタクトレンズなどを強化、とくに酒類分野の品揃えを増強しています。売上高1,000億円を突破したEC事業の強化にも乗り出し、リピート顧客の拡大や店舗との相互総客を強化。さらにリユース市場の拡大を見込み、2023年12月にエーワンを子会社化しました。

エディオンは今後拡大が見込まれるリフォーム分野に注力。また、2022年4月にはニトリHDと資本業務提し、PB商品の開発や店頭ではニトリとのコラボブースも展開、EC事業の強化にも取り組んでいます。ノジマはシンガポールやマレーシアで家電小売を展開する「COURTS Asia Limited」を買収。カンボジアに次ぎ、マレーシアやシンガポールなどアジアでの海外展開の強化を図ります。

店舗当たりの生産性向上の取り組みも相次いでいます。ビックカメラやエディオンは「電子棚札」を導入開始。電子棚札はPOSや基幹システムと連動することで、本部が価格を一括で変更することができる棚札です。電子棚札に切り替えることで、価格の更新を迅速に行うことができるほか、口コミなどの付帯情報もダイレクトに表示させることができます。

各社、新たな取り組みを続々と打ち出すのは「将来の危機感の裏返し」とも言えます。頭打ちを迎えている家電量販店業界にとって、新たなビジネスモデルの構築は、生き残るうえでの欠かせない課題ともいえるのではないでしょうか。

家電量販店業界 ランキング&シェア

家電量販店業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで家電量販店市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

家電量販店業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 ヤマダHD 16,005
2 ビックカメラ 7,923
3 ヨドバシカメラ 7,530
4 ケーズHD 7,373
5 エディオン 7,205
6 ノジマ 6,261
7 上新電機 4,084
8 コジマ 2,793
9 ラオックスHD 551
10 アプライド 386

※ヨドバシカメラは2021-2022年の売上高です。シェアとは家電量販店業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで家電量販店市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ家電量販店業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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家電量販店業界 対象企業一覧

ヤマダHD、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ケーズHD、エディオン、ノジマ、上新電機、コジマ、ラオックスHD、アプライド、ピーシーデポコーポレーション、ZOA、セキドの計13社

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