消費者金融業界の動向や現状、ランキングなどを研究しています。データは2022-2023年。消費者金融業界の過去の市場規模の推移をはじめ、消費者向け貸付残高の推移グラフと営業収益ランキング、各社の海外進出の動向などを解説してます。
業界規模
0.9兆円
成長率
2.9%
利益率
21.0%
平均年収
727万円
消費者金融業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年までは横ばいで推移していましたが、2022年には若干の増加となっています。
下のグラフは、2022年度までの消費者向け貸付残高の推移を示したものです。
消費者向け貸付残高の推移(出所:金融庁、グラフは業界動向サーチが作成)
金融庁(2023年6月更新)によると、2022年度の消費者向け貸付残高は、前年比2.3%増の3兆0,537億円でした。2022年度は前年の減少から一転し、再び増加しました。2020年度から2022年度にかけて増減が見られるものの、近年はほぼ横ばいで推移しています。
2022年は経済再開に伴い個人消費の持ち直しの動きが見られました。これにより大手消費者金融では新規成約件数が増加、前年の落込みから一転して回復傾向にあります。TV広告やWEB、SNSによる集客、スマホ向けアプリなどのサービスを強化しており、営業貸付金や円安の為替影響に伴う営業貸付金利息が増加しています。
近年の消費者金融業界の動向として、「LINE 」や「ファミリーマート」といった非金融業からの参入が見られます。これらはいずれも「LINE」や「ファミペイ」といった既存のアプリを起点にお金を借りることができます。
これらのサービスはまだ始まったばかりですが、背景とするプラットフォームが大きいだけに、既存の消費者金融会社にとっては今後、脅威になりうる可能性があります。
※は消費者金融関連事業の部門売上高です。2022-2023年の消費者金融業界の営業収益ランキングを見ますと、首位が三井住友FG(プロミス)、2位がアコム、アイフル、Jトラストと続きます。昨年に三井住友FGが首位を奪還、2022年も引き続きトップを維持しています。
2022-2023年の消費者金融上位4社の営業収益は、三井住友FG(プロミス)が前年比9.4%増、アコムが同4.4%増、アイフルが9.2%増、Jトラストが94.8%増でした。上位4社中3社が増加となっています。
近年の消費者金融業界は、相次ぐ「過払い金返還」や「貸金業法完全施行」により、事業者の経営を圧迫してきました。さらに、新型コロナの影響で資金需要の低下を招くなど業界は逆風が続いています。こうした動向のなか、大手各社は成長著しいアジア地域での展開に力を入れています。
アコムは、タイとフィリピンの東南アジア2か国に進出しています。タイでは個人を対象にした無担保ローン事業を展開し、タイ国内ではトップのシェアを築いています。
アコムの「タイにおける無担保ローン事業」
アコムは、フィリピンにおいても無担保ローン事業を展開しています。現在、アコムの海外進出はタイとフィリピンのみですが、マレーシアに子会社を設立するなど水面下での動きが見られます。今後はその他のアジア地域でも事業展開を目指しています。
三菱住友FGは、台湾進出をきっかけに、香港、タイ、中国でプロミスを展開してしています。香港では無担保および無保証の小口融資を行っており、2021年6月現在で26店舗を展開し、中国においては7都市に進出しています。海外事業の貸付残高は2021年3月現在で、1,041億円に上ります。
アイフルでは、タイで消費者金融業を展開しています。優良顧客の獲得強化に加え、銀行自動引き落としと入出金のカードレス化を開始しています。その他、海外ではインドネシアで中古車オートローンの事業も行っています。
ここ数年の消費者金融業界は、メガバンクを中心とした統廃合が進みました。規制や過払い金返還、少子高齢化による市場の縮小などで厳しい状況の中、各社は積極的な海外進出を行っています。ただ、海外売上比は全体の5~20%程度と、いまだ収益柱には育っていないのが現状です。今後もこうした取り組みの継続が必要となります。
消費者金融業界の営業収益ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで消費者金融市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三井住友FG ※ | 2,941 | ||
2 | アコム | 2,737 | ||
3 | アイフル | 1,441 | ||
4 | Jトラスト | 824 | ||
5 | SBI新生銀行 ※ | 611 | ||
6 | 全国保証 | 502 | ||
7 | アサックス | 61 | ||
8 | 財形住宅金融 | 35 | ||
9 | 全宅住宅ローン | 16 |
※三井住友FGはSMBCコンシューマーファイナンス事業、SBI新生銀行は新生フィナンシャル事業の売上高です。シェアとは消費者金融業界全体に対する各企業の営業収益が占める割合です。シェアを比較することで消費者金融市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ消費者金融業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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